2010年3月31日水曜日

読書日記 2010-021 [★★★★☆]マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方

マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方 (新潮新書)
トム佐藤
新潮社
売り上げランキング: 53403
おすすめ度の平均: 4.5
4 1980年代後半から1990年前後までのMSXの失敗からWindowsの成功に関して記述している。
4 西和彦アスキー元社長の部分は面白かったです
4 私記・Win世界標準への道
3 当時の当事者が書いた本
3 マイクロソフトの憂鬱


WindowsがPC業界でデファクトを獲得していく過程をつづった本です。
実際に中からの目線で書かれた本で臨場感がありました。
それにしても、有名な開発者の名前がこれでもかというくらいに出てきてエンジニア的にはさらに面白かったです。
朱先生の授業の前に読むべきでした。

気になったところをひとつ。

デファクトを作るためには、2つの重要な能力が必要だ。<略>ウィンドウズの場合は、マイクロプロセッサ技術、メモリ、ハードディスク、<略>など様々な技術的要素を必要としており、これらのテクノロジーの今後の展開を技術仕様書レベルで理解しておくことである。今の時代で言えばWEB2.0の技術は、<略>最新技術仕様(スペック)を読まないとビジネスはできない。


日本の技術系会社にはスペックレベルで技術を理解できる「偉い人」がどれくらいいるのでしょうね。ここら辺が日本のガラパゴス化の原因だと思っています。

2010年3月29日月曜日

読書日記 2010-020 [★★★★★] 小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)
ジェイソン フリード デイヴィッド・ハイネマイヤー ハンソン
早川書房
売り上げランキング: 148
おすすめ度の平均: 4.0
4 大きな組織が悪というわけではない
4 Small is Beautiful!
5 今後の仕事の仕方に大きく影響を与えるだろう本
4 自分の仕事を濃いものにするためのヒント


エンジニアなら必ず聞いたことがある37signalsという会社の経営に関する本です。37signalsは知らなくても、Ruby on Railsは知ってますよね?

読んでいる間、ずっとイノベーションのジレンマを思い出していました。こういう会社が破壊的なイノベーションを起こし、大企業から顧客を奪っていくのです。

印象的だった箇所をピックアップします。

競争相手を打ち負かすには、なにごとも相手よりも「少なく」しかしないのだ


ピストやフリップの例があげられていましたが、まさに破壊的イノベーションです。

何人かを満足させるために上級者向け機能を加えることは、まだなれていない人たちを怖気づかせてしまう


そして、「顧客を(あなたよりも)成長させよう」と言っています。まさに、顧客の声を聞き過ぎないというクリステンセンさんの意見にピッタリです。

軽く、シンプルに、スマートに。こういう仕事のスタイルが理想です。

読書日記 2010-019 [★☆☆☆☆] 経営戦略を問いなおす

経営戦略を問いなおす (ちくま新書)
三品 和広
筑摩書房
売り上げランキング: 13647
おすすめ度の平均: 4.5
5 経営戦略は人に宿るアートだ!
5 均整、と言えば、旧自動二輪限定解除技能試験の美しさ
4 戦略とはなんぞやを噛み砕いて理解できる
4 損なし
5 経営戦略は人に宿る


Amazonですごい評価が高い本です。
ということで、私が出来損ないなだけだと思いますが、あまり面白くなかったです。

多くの本で書かれている経営戦略の考え方やフレームをことごとく打ち砕いていくやり方は痛快で面白いですが、「で、結局どうすればよいの?」という質問に、経営は人に宿る「アート」だという答えには納得がいかないです。
もちろん、「人」が大切というのは十分分かっているのですが、最後の最後まで「人」に頼らずに経営する方法をみんな捜し求めて、経営を学んだり、研究したりしているのではなかったのでしょうか?

最初に数値がひとつ出てくるだけで、その後は独自の考えが並んでいるという書き方も好みではなかったです。

2010年3月26日金曜日

読書日記 2010-018 [★★★★☆] MBAビジネスプラン

MBAビジネスプラン
MBAビジネスプラン
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グロービス
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 8706
おすすめ度の平均: 4.5
4 起業に向けたFAQが充実した良書
5 基本の一冊!
5 最初の一冊!
4 如何に人を巻き込むのか。コミュニケーションおよびマネジメントのツールとしてのビジネス
4 就職活動ケーススタディー対策なんかに


ビジネスプラントは「これから始めようと考えている事業(あるいは始まって間もない事業)」に関し、基本的なアウトラインを体系的にまとめた文章」のことです。
QBSのプロジェクト演習は、ビジネスプランで行こうと思っているので、まずは基本からの勉強です。

すっきりまとめられていて分かりやすかったです。

で、本ばかり読んでいても身につかないのでビジネスプランを書く練習をしたいと、ゼミ生で話し合いました。

ケースを探しています!

2010年3月23日火曜日

読書日記 2010-017 [★★★★★] プロフェッショナル・アントレプレナー 成長するビジネスチャンスの探求と事業の創造

プロフェッショナル・アントレプレナー 成長するビジネスチャンスの探求と事業の創造 (ウォートン経営戦略シリーズ)
スコット・A・シェーン
英治出版
売り上げランキング: 83421
おすすめ度の平均: 3.5
2 実務には役に立たないだろうし、理論書としても薄い。
3 「ビジネス」って、何...?
4 ビジネスの基本に立ち返り、本道を行くことの需要性
5 実用的良書
1 当然の帰結


特にテクノロジーを扱う起業に関するまとめ本。内容はいろいろな本の理論を集めており、特に目新たらしいものではないが、きっちりまとまっており勉強になりました。

10の鉄則!

1.有利な産業を選ぶ
2.価値あるビジネスチャンスを発見する
3.テクノロジーの進化を制する
4.本当の市場ニーズを発見し、それを満たす
5.購入者の意思決定と、市場の力学を理解する
6.既存企業の弱みにつけ込む
7.知的財産を管理する
8.イノベーションの利益を専有する
9.最適な事業体制をとる
10.リスクと不確実性に対処する

この本に上げられるチェック項目をすべて満足するチャンスがすぐに見つかるとは思えませんが、そうでなかった場合はどこに弱みを抱えていて、どこが強みなのかを理解して起業するだけで結果は大きく違うのだと思います。

「起業機会探索」の前に読んでいれば、イエロージャージを独占できたかもしれないなぁと思いました。

2010年3月19日金曜日

読書日記 2010-016 [★★★☆☆] エクセルで極める1枚企画書

エクセルで極める1枚企画書 Excel 2007,2003,2002対応 (ビジネス極意シリーズ)
竹島 慎一郎
アスキー・メディアワークス
売り上げランキング: 20555
おすすめ度の平均: 4.0
4 一枚にまで落とし込む考え方の過程が重要


プレゼンの資料作成とかが、とてもヘタクソなので本屋さんでハウツー本を購入してしまいました。
最後の方にサンプルのダウンロードアドレスがあったので、これだけ知ってれば良いのにとちょっと後悔しました。

2010年3月16日火曜日

読書日記 2010-015 [★★★☆☆] 現場の変革、最強の経営 ムダとり

現場の変革、最強の経営 ムダとり
山田 日登志
幻冬舎
売り上げランキング: 210444
おすすめ度の平均: 4.5
5 最後に精神論一辺倒になってるのが残念
5 ものづくりを身近に感じるきっかけに
2 50ページぐらいの内容
3 製造業向けの域を出ない・・・?
4 「ムダ取り」から「ムダ」を取り除きたい!


同級生Mさんの師匠の本です。
前半は実際の生産現場での「ムダとり」の話で、後半は一般的なビジネスの話です。
どの業務でも時間は気をつけているつもりですが、まだムダが多いかなぁと思います。

著者の人の能力を信じる気持ちがとても大きく感じられました。
会ってみたいなぁ。

2010年3月5日金曜日

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する、再読了

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
W・チャン・キム レネ・モボルニュ
ランダムハウス講談社
売り上げランキング: 1097
おすすめ度の平均: 4.0
5 有用だ。
4 理屈は跡付けっぽいが、考え方は面白い
3 理論としてはオーソドックス。読み物としては分かりやすくてお勧め。
4 経営戦略における「逆転の発想」―未知の「青い海」を目指して
4 明確なコンセプトで非常にインパクトがある内容


事前ゼミ課題図書ということで、再度読み直しました。ということで、まとめです。

■ブルーオーシャンとは?
レッドーシャンとは今日の産業すべてを表します。既知の市場空間です。ブルーオーシャンとは、いまはまだ産まれていない市場、未知の市場空間すべてのことです。この本では、競争の無い市場空間を生み出して競争を無意味にする事業を新たに生み出すための戦略立案、実行に関する内容が書かれています。

■バリューイノベーション、戦略の土台
ブルーオーシャンを切り開いた企業は戦略へのアプローチの仕方が違います。競合他社のベンチマークを行うのではなく、従来とは異なる戦略ロジックに従います。それがバリューイノベーションと呼ばれます。バリューイノベーションとは、イノベーションと実用性、価格、コストなどの調和がとれてはじめて実現されるものです。

■ブルーオーシャン戦略の6原則
策定の原則として、①市場の協会を引き直す、②細かい数字は忘れ、森を見る、③新たな需要を掘り起こす、④正しい順序で戦略を考えることが上げられています。また、実行の原則とし、⑤組織のハードルを乗り越える、⑥実行を見据えて戦略を立てることが上げられます。
それぞれ、①探索リスク、②プランニングリスク、③規模のリスク、④ビジネスモデルにまつわるリスク、⑤組織面のリスク、⑥マネジメントリスクを下げるための原則です。

■ブルーオーシャン戦略立案のためのフレームワーク
戦略キャンバス:既存の市場空間について現状を把握し、どこに注目し戦略を立てるべきかを示すフレームワークです。既存の商品、サービスの価値曲線と新たに生み出そうとしている戦略の価値曲線を重ねて表示することで差異を一目で把握することが可能です。

4つのアクション:新しい価値曲線を描くための手法で、4つの問から新たな戦略を導くガイドとなってくれます。既存商品やサービスから①取り除くべきもの、②減らすべきもの、③増やすもの、④付け加えるべきものは何かを考えるアクションです。既存の要素から減らしたり、除いたりすることは意識的に実行しなければできないことです。

アクションマトリクス:上の4つのアクションが実施できているかを4象限のマトリクスに書き込むことができるフレームワークです。

これらのフレームを使用して作成された戦略を評価するために、優れた戦略に共通する3つの特徴があげられています。優れた戦略は①メリハリ、②高い独自性、③訴求力のあるキャッチフレーズの特徴を持っています。

■市場の境界を引き直す
市場の境界を引き直す方法とし、6種類のアプローチが提案されています。6つのパスです。①代替産業に学ぶ、②業界内のほかの戦略グループから学ぶ、③買い手グループに目を向ける、④補完財や補完サービスを見渡す、⑤機能思考と感性思考を切り替える、⑥将来を見通す、です。戦略グループは一般に、価格とパフォーマンスを基準におおまかに格付けができます。
トレンドを見通す上では、3つの重要な原則があります。①事業に決定的な意味合いをもたらす、②後戻りしない、③はっきりとした奇跡を描くというトレンドを見るべきです。

■細かい数字は忘れ、森を見る
①目を覚ます、②自分の目で実現を知る、③ビジュアル・ストラテジーの見本市を開く、④新戦略をビジュアル化するというステップで、戦略立案を実施することで、森を見ることが可能となります。
PMS(パイオニア、安住者、移行者)マップというフレームワークを使い自社の事業のポートフォリオをビジュアル化することで現在の業績だけにとらわれず、将来の業績に向けて準備することが可能です。

■新たな需要を掘り起こす
①既存顧客に焦点を当てる、②既存のセグメントにとらわれるという慣行を問い直さなければいけません。買い手が共通して重んじる要素をテコとして使うことを意識しなければいけません。非顧客層は3グループに分けられます。①市場のふちにいるが、逃げ出しそうな層、②あえて買わない層、③未開拓の層です。この非顧客層で最大のセグメントを発見することで新たに巨大なブルーオーシャンを発見できます。

■正しい順序で戦略を考える
①買い手にとっての効用、②価格、③コスト、④実現への手立てという順番に戦略を検討することが求められます。この順番に進みながら満足する戦略を考えなければいけません。①は買い手の効用マップを使用して検討します。②は顧客の密集する価格帯を見つけなければいけません。ブルーオーシャンアイデアインデックス(BOI)のフレームを用いて有効性を検討します

■組織のハードルを乗り越える
優れたブルーオーシャン戦略を立案した後は、実行します。その際に組織に起因して4つのハードルが存在します。①従業員にどのように戦略の必要性に目覚めてもらうか、②経営資源不足、③従業員の士気、④社内政治です。そのために、ティッピングポイントリーダーシップの手法が紹介されていました。また、中心人物に話を絞ることや経営層の中からアドバイザーを得ることが重要です。

■実行を見据えて戦略を立てる
実行のためには公正なプロセスが重要です。

それにしても面白い本です。